モンテカルロシミュレーションでFIREの安全性を検証する
このページではモンテカルロシミュレーションでFIREの安全性を確率論的に検証する方法・4%ルールの成功率・より堅牢なFIRE計画の立て方がわかります。
実際にFIRE後の生活費・資産を計算してみましょう
FIREシミュレーターで計算する →この記事の要点
- ✓モンテカルロシミュレーションとは
- ✓FIRE成功率の目安と安全な取り崩し率
- ✓シーケンスリスクをモンテカルロで検証
- ✓より堅牢なFIRE計画の立て方
よくある質問は記事末尾の「よくある質問」セクションで解説しています。
モンテカルロシミュレーションとは
FIRE計画でよく使われる「4%ルール」は過去のデータに基づいていますが、未来の市場は必ずしも過去と同じように動きません。そこで登場するのがモンテカルロシミュレーションです。
モンテカルロ法とは、ランダムな数字を大量に生成して、無数のシナリオをシミュレーションする統計的手法です。FIRE計画では「10,000通りの市場シナリオを試して、何%のシナリオで資産が枯渇しないか」を検証します。
なぜモンテカルロが重要か
歴史的データに基づく4%ルールは「過去にこれだけ機能した」という後ろ向きの検証ですが、モンテカルロは「考えられる未来のシナリオ全体」を前向きに検証します。
- 最良シナリオ: 資産が10倍以上に成長
- 最悪シナリオ: 3〜5年で資産が枯渇
- 中央値シナリオ: 7,000万円 → 約1.8億円
- 成功率(資産が30年持つ確率): 取り崩し率4%なら約89〜93%
この成功率(Success Rate)がFIREの安全性指標として使われます。
FIRE成功率の目安と安全な取り崩し率
モンテカルロシミュレーションの結果から、FIRE計画の安全性を判断するための目安を紹介します。
- 95%以上: 非常に安全。4%ルールより保守的な計画
- 90〜94%: 安全。4%ルールの典型的な成功率
- 80〜89%: 概ね安全だが、暴落時に生活費の削減が必要になる可能性
- 70〜79%: やや危険。副収入か生活費削減の準備が必要
- 70%未満: 危険。FIRE時期の延期か計画の見直しを強く推奨
- 成功率95%: SWR 約3.3%(年間支出の30倍の資産が必要)
- 成功率90%: SWR 約3.7%(年間支出の27倍)
- 成功率85%: SWR 約4.0%(年間支出の25倍)
4%ルールとの関係
トリニティ・スタディ(4%ルールの根拠)は米国の歴史データで96%の成功率でした。モンテカルロ法では、日本人投資家(全世界株式・円建て・30〜40年運用)に適用した場合、90%程度の成功率が期待できます。
より保守的に計画したい場合は、SWR 3.5%(必要資産 = 年間支出×28.6倍)が実用的な目安です。
シーケンスリスクをモンテカルロで検証
FIRE最大のリスク「シーケンス・オブ・リターン・リスク」をモンテカルロで可視化してみましょう。
10,000シナリオでのリタイア初年度暴落の影響
1億円でFIRE(年間取り崩し400万円)した場合:
- 初年度末の資産: 5,000万円 - 400万円 = 4,600万円
- 以降の市場が平均リターンを回復した場合:
- 30年後に資産が残る確率: 61%(通常の89%より大幅に低い)
- 以降の市場が好調だった場合:
- 30年後に資産が残る確率: 79%
- 成功率: 89% → 93%に改善(同じ投資資産でも)
現金バッファーはリターンの低下(現金は0%リターン)を招きますが、シーケンスリスクを大幅に緩和するため、トータルの成功率は向上します。
当シミュレーターでは取り崩しシミュレーションで悲観・中立・楽観の3シナリオを確認できます。モンテカルロ的な感度分析として活用してください。
より堅牢なFIRE計画の立て方
モンテカルロシミュレーションの知見を活かした、より堅牢なFIRE計画の原則をまとめます。
原則1: 成功率90%以上を目標に
「平均シナリオで大丈夫」ではなく「最悪シナリオでも90%の確率で大丈夫」を基準にする。SWR 3.5〜4.0%の範囲で計画する。
- 「資産が計画の80%を下回ったら取り崩しを10%減らす」
- 「資産が計画の120%を超えたら10%増やしてOK」
- 資産取り崩し(メイン)
- 副収入(フリーランス・配当)
- 将来の公的年金
3つの収入源があると、1つが不調でも他でカバーできる。
- 資産残高を再確認
- 生活費の変動を反映
- 「このペースで大丈夫か」を再検証
原則5: 「最悪の場合」の計画を持つ
成功率85%のFIRE計画なら、15%の確率で資産が枯渇するシナリオがある。その場合の「Plan B」(サイドFIRE転換、生活費削減、公的年金繰り上げ受給)を事前に考えておく。
FIRE計画は完璧である必要はありません。「高確率で大丈夫」かつ「最悪の場合の対策もある」という2層の安全網が、真に安全なFIREを実現します。